東京ハードボイルド

インターネットを使い始めてからもうすでに20年以上の月日がたっていると考えるとなんだかぞっとする。

3年前に台北に行ったときのこと 第一章 そうだ、台北に行こう


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これは3年前に台湾へ行ったことを電子書籍化した文章を、ブログ用に追記、校正したものである。全部で十三章になっている。長らくお付き合いいただくことになるので、あらかじめお伝えしておこう。

第一章 そうだ、台北に行こう

現実逃避の旅に出る

 その年の2月は寒かった。寒いのが苦手な私は冬場は厚着をしてしまう為に肩こりがひどくなり、そのひどい肩こり解消の為に仕事を休みたくなる。「寒くて死にそう」なんて言うものの人間は意外と頑丈にできており、こんな東京の寒さぐらいでは普通に生活していれば死なない。だが、仕事のストレスごときで簡単に死んでしまうことはある。なので仕事を頑張ると言うことは、死の危険と直面していると言っても過言ではない。仕事は頑張らない方が身のためである。
 そんな寒さの中、毎日激しいストレスを感じている現在の仕事から解放されたいとばかり考えていた。なぜなら死にたくないからだ。
 人間と言うのはとてつもなくちっぽけな存在である。ボブサップが同級生だと言うことを思い出すたびに、自分がちっぽけ過ぎてもうやってられないと思う毎日なのである。ちっぽけでない部分を探すとしたら眉間のしわと体脂肪率ぐらいではなかろうか。

2014年1月

3か月後の4月で40歳になることについて考えていた。私の三十代最後の年、39歳は退屈だった。しがらみだらけの人間関係で悩んだりするのが普通な年代なのだが、あまりに人間との関係を軽視しすぎて気が付いたら周りに誰もいなかった。これを一般的には孤独と呼ぶこともあるようだが、そういった感覚がよく分かっていないので、それはただ暇で退屈としか言いようのないものなのだ。寿命が80年とした場合の完全なる折り返し地点の40歳と言う節目感により「人生の見つめなおし」がある意味日課となっており、見つめなおすことぐらいしかすることが無い人生が進行していた。
 
 妻と中学生の娘が一人のそこらへんのサラリーマン。いつまでも続く不安定な暮らし。将来に希望があるわけではない。東京に住んでいると言っても、東京都下こと多摩方面。
地元大阪から離れて15年も経ち、家と会社の往復以外にやることと言ったら、人生を見つめなおすことぐらいである。
果てしないルーチンワークの日々を忘れるためには、この長い人生で今だ嘗てやったことがないことをやってみるのが一番なのである。そこでやっていないことを考えてみる。
 今までやったことがないことなどそれなりの年齢になったら、そんなに多くないように思えて意外とやったことがないことは多かった。かと言って、大体のことはやりたくてもやれない理由が明白だったりする。
 そんな中でも私としたことが恥ずかしながら海外旅行の経験がない。国内はいろいろ行った。仕事と観光を合わせたら北は青森から南は鹿児島まで行き尽くしている。北海道と沖縄にはまだ行ったことはないが、テレビで特集をやっているのを見ていると大体のことがわかる。したがって興味が沸かない僻地となっている。そのような行ったことない国内の僻地を飛ばして海外云々の話をしようではないか。
 
 海外となるとパスポートとかが必要になったり面倒くさそうなのは否めない。パスポートなんてものは千葉県の夢と魔法の王国でワンデーパスポートを購入したことしかない。しかしいくら面倒であっても、今の自分に刺激を与えるには、これは思い切って一人で海外旅行にでも行こうかと画策したのだ。

本当はグアムに行きたい

 海外旅行と言っても行先に悩む。問題点も不安も山積みである。外国語を話せない上に、手元のお金も10万円ぐらいしか余裕はない。飛行機に長時間乗るのもあまり好きではない。だったら海外なんて行くなと言われても行きたくなってしまったんだから、黙って行かせろとしか言えない状況である。
 寒いのが苦手な私だから、これは温暖なところが良いと言うことで、南国で近い海外を考えたところやっぱりグアムだ。グアムはもっとも早く到着するアメリカだし、旅費もリーズナブルである。
 しかも、人生でやってみたかったけどやっていないことの代表格、拳銃で実弾をぶっ放すこともできるらしい。
 とりあえず、グアムに行ってみるかと考えていた数日後、テレビのニュースでグアムで無差別殺傷事件が起きたとのこと。邦人観光客が数名被害にあったらしい。
内向的な39歳としては、なんとなくおっかないのでこういった情報を得るとグアムへ行くのも迷ってしまう。 事件や事故に巻き込まれたら解決することができないのも重々承知なのだ。
結果として私は「グアム行き」をいとも簡単に諦めた。
 そんな折、やむなく他の場所を考え始めたとき、たまたま目にした台湾のネットニュースを見た。
震災の時には多大な募金を寄付してくれた親日な国。そしてなんと言っても、ビビアンスーで金城武。キンジョウブなのである。
 拳銃はぶっ放せそうにないが初めての海外旅行には相応しいのではないか。台湾へ行くことをいとも簡単に決めた。
 ネットでいろいろ調べると、台湾は意外と日本に似ている部分が多く、日本の企業もたくさんあり、日本語も少しは通じると言うことで、内向的39歳の私にも優しいのではないかと、調べれば調べるほどハードルの低い海外旅行だと言うことが分かった。
 自分探しの若者と違って、ハードルは低いに越したことがない。私の持ち合わせていた台湾情報は台湾バナナと台湾料理とインリンオブジョイトイぐらいであったので、ここはひとつ台湾を知る旅をするしかないと言う結論に至ったのである。
ヒラオカノフスキー・クラタチェンコ作品 インリン・オブ・ジョイトイの上海黄浦路二〇号

ヒラオカノフスキー・クラタチェンコ作品 インリン・オブ・ジョイトイの上海黄浦路二〇号

 

パスポート申請

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 海外旅行に必要なものと言えばパスポートである。これを取得しなければ関所を超えることができない。39歳のくせに、パスポートを持ったことがない私からすると、それだけで心の臓がドッキンコなのである。
 しかし、何処で入手できるのかすら知らず空港に行けばいいのかしらと素っ頓狂なことを思っていたのだが、どうやらパスポートは然るべき申請をする場所があるらしい。
いつものように某有名検索エンジンの検索窓に「パスポート申請 東京」と入力して調べたのだ。我が家の最寄りのパスポートセンターが自宅最寄り駅の次の次の駅、立川にあることを知った。そして、申請に必要な書類がいろいろあることも知った。
  • 戸籍謄本
  • 住民票
  • パスポート写真
  • 運転免許証などの身分証明書
 これらの書類を集めるために翌日の朝、おなかが痛いと会社に電話して仕事をずる休みした。上記を揃えるのに私が使った費用を記載しておく。
  • 戸籍謄本を市役所でゲット、450円
  • 住民票も一緒にゲット、200円
  • 証明写真機で写真ゲット、700円
  • 運転免許は持っていた。
合計1,350円も消費してしまった。
 書類が揃ったので翌日早速、立川のパスポートセンターに仕事帰りに寄った。
平日の18時、商業施設の建物の9階にあったそのセンターは、まるで若者専用の病院の待合室のようだった。とにかく若い人がたくさんいたのだ。
 季節も1月の半ばだったので、卒業旅行準備の学生さんなのだろうか。若者たちをじろじろ見ていると「ナニミテンダヨジジー」とおやじ狩りに遭遇してしまうかもしれないと言う後ろ向きな考えから、私はいかにも初めてパスポートを申請に来たような感じの、よそよそしい仕草の初老の女性の行動を見つめ、それを真似るかのように行動して何とか書類を書いたりして、パスポートを申請することに成功した。ありがとう初老の女性。
 申請したらその場で貰えるのかと思ったら、なんと発行まで一週間も待たなければならないようだ。これは市役所で国民健康保険を申請するとその場で貰えるような、親切設計ではないようである。とても不親切である。なんでそんなに時間がかかるのか。受け取るためには、また仕事をずる休みするしかないのかという懸念が持ち上がるが、どうやら受け取りは出来上がり後の連絡を受けた後、早めに行けばいいとのこと。一安心である。
 一週間後、私は仕事帰りにまたしてもパスポートセンターへ立ち寄った。そして、無事に濃紺のパスポートを受け取ったのだ。何とも感慨深いその手帳サイズの小冊子。そして真ん中には吉田松陰と言う曲を大音量で流す黒塗りのバスに描いてあるみたいな大きな菊の紋章。あぁ日本人でよかった。

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 ここで、パスポートについて私以上に知識のない人にお伝えしておきたい。パスポートには二種類ある。ひとつは10年間有効なパスポート。これは赤色のパスポートで収入印紙代で16,000円を支払って発行してもらう。
 もう一つは5年間有効なパスポート。濃紺色のパスポートで収入印紙代で11,000円が必要となる。貧乏極まりない中年の経済状況からして、やはり5年有効の濃紺を私は選んだのである。
 パスポート取得にかかった総額をお伝えしよう。12,350円がその総額である。
これは平成二十五年初頭の日経平均株価と同等の金額である。箱根のそこそこの旅館に泊まれるレベルだ。旅行に行く前からそんなに金がかかると言うことも、知っておかねばならないことなのである。正直ちょっとだけ箱根にすればよかったと思った。

情報収集は最大の防御なり

 パスポートも出来たこともあり、さて早速ホテルでも予約して航空チケットの手配と行きたいところだが、その前に台湾に目的もなく行っても、基本的にインドア派でコミュニケーション能力の低さでは、小学低学年の走り高跳びほど低いことで有名な私であるからして、ホテルで引きこもってしまうことは目に見えている。だからこそ、台湾のことを知っておきたいではないか。
 そこで行きつけのマイフェイバリットリサイクルブックストアこと、知識のリサイクル「 ブックセンターいとう 」へ向かった。
 
普通ならここでアマゾンあたりで最新のガイドブックをゲットするのが、一般的なセオリーだと思うのだが、こう見えても金がない私はより安く情報をゲットするのが得策と断定したのだ。
 しかしながら、なかなか台湾のガイドブックがゲットできず、近隣地域のブックセンターいとうをはしごして、ようやく3件目のブックセンターいとうにて『世界の歩き方 台北2012』と題した本を買った。ちょっと古いがまぁ大体同じだろう。
 ガソリン代を考えるとアマゾンで最新のガイドブックを買った方が安上がりな結果なのだが、高まったテンションがそんな考えをねじ伏せるのである。
 ついでに、あわよくばこの旅でコミュ力を付けたいと考え、『中国語で自己紹介ができる本』と言う題名の本をゲットしたのである。
中国語で自己紹介ができる本(DVD付)

中国語で自己紹介ができる本(DVD付)

 

 金銭的な内訳は

  • 世界の歩き方 台北2012 中古で600円
  • 中国語で自己紹介ができる本 中古で600円
合計1,200円
早速家に帰って読み漁る。中国語でありがとうと言えばシェイシェイと言うと思っていたのだが、正確にはシィエシィエと言う微妙な発音の違いを知ることに成功した。
 台湾語と中国語では微妙にニュアンスも違うと言うことを、本を途中まで読んでから知った。言葉の壁は気持ちで乗り越えることにしよう。日本でもそれほどしゃべらずに過ごせてこれているではないか。
 
さて、ホテルやチケットはどうなるのか。
 
つづく