東京ハードボイルド

インターネットを使い始めてからもうすでに20年以上の月日がたっていると考えるとなんだかぞっとする。

少々ふくよかな女に説教された日のことを「二人セゾン」のおかげで思い出した


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二人セゾンをご存知だろうか。トイレに入れるヤツはセゾンではなくセボンである。

今回の話はセボンではない。

ましてやめぞん一刻も関係ないのである。

チケットセゾンも出してこようかと思ったが

そろそろ怒られるのでやめておこうか。

 石田衣良氏が2006年に広めた言葉でおなじみの

サイレントマジョリティ」をタイトルにした

あの曲で紅白に出場していた欅坂46の曲である。

余談ではあるが、欅という字と襷という字が似ている。読みはちなみにタスキである。

襷という字と褌という字が似てる。読みはちなみにフンドシである。
したがって褌坂46と表記して見るも、
どっからみてもフンドシザカであり、見間違えることはまずないと言う。
フンドシ事情のことはさておき、(そもそもフンドシザカってなんやねん)
ここ最近は頭の中でサビ部分のフレーズが、リフレインしているのである。

貧しさゆえの選択

もう何年も昔の話だが、私は仕事が決まらなかった時期が幾多もあった。
無職と正規雇用非正規雇用が数か月ごとに訪れると言う
見事なまでのシンフォニーに、
自分でもいやになるくらいの不安定だった。
 
しかも、多額の借金の返済があり、
地元を離れてしまっているので頼れる人もいない。
さらに、サイボーグ化されていない私は
 
飯を食わないとおなかが減ってハングリーでアングリー
 
な気分になるので
否応なく当時大流行の登録制派遣バイトの仕事に行っていた。
 
そんな中でも数週間だけではあるが、
新宿の無印にMUJIセゾンカードの会員獲得の仕事に派遣された。
そうだ、安易すぎて引いてしまうぐらい
セゾンつながり
である。
 
したがって欅坂46関係の記事かと思ってこの記事に辿り着いた方には
大変申し訳ないのであるが
全力で関係ないので速やかにお風呂に入って寝るだとか、
食事をとるだとか
そう言った有意義な時間を過ごすことを推奨する。

カード会員獲得の仕事

 その仕事と言うのが
「無印のポイントカードとドッキングしたクレジットカード」をつくると、
とてもお得だと言いくるめてクレカ会員を獲得する仕事で、
1日だけ研修があった後に実際に仕事をするのだが、
私のパートナーとなったのは
柳原加奈子に似ている、ふっくらとした女性
だった。
 
彼女は恐ろしいほどよくしゃべる女性で、
この仕事にふさわしい人懐っこさで、
初対面の私に「君と一緒か!ガンバロウネ」
かなり上から接近してくれたのである。
 
派遣会社がある池袋から新宿への移動の間、
彼女はずっとしゃべってくれた。
聞いてもいないのにたくさんの自己紹介をしてくれた。
年齢は26歳で埼玉の上尾出身で今は日暮里に住んでいて、
高校卒業して日本橋の某デパートで働いていたが、
昨年退職して派遣の仕事をしている。
どうも嘘くさいと思ったが、
やめる気配が無いのでツッこむこともせずに聞いていた。

危機感がある女性 

彼氏いない歴3年で好きな食べ物は吉野家の牛丼で、
休みの日には女だけで平気で一人牛丼するタイプで、
むしろ一人牛丼出来ない感じの柔い女が大嫌いと言った感じの
バリバリ仕事できる独り立ちした女であることをアピールしている。
見た目は痩せたらそれなりに
きれいなんじゃないかと思うぐらいの清潔感で、
身長も少し低めだった。
派遣会社から支給されたと思われるパーカーを
誇らしげに着用していることに正直ひいた。
 
彼女は話に夢中になりすぎて距離感がつかめていないのか、
やたらパーソナルスペースを侵害してくる。
なぜか不快にならない高級そうな香水の匂いがしているのだが、
ものすごい勢いで話すので唾液しぶきが凄く、
何とも言えない快と不快の狭間をさまようのであったが、
本人が気分よさそうに話すので黙って聞いていた。
 
きっと普段は寂しい生活をしているに違いない。
もしくは親の育て方に問題があったに違いない。
 
個人的には正直苦手なタイプだが、
仕事だからとりあえず仲良くしておこうと思っていた。
どちらかと言うと私は普段は無口でシャイなあんちくしょうなので、
積極的に話してくれる人と一緒にいるのは仕事する上では楽になる。
 
個人的な予想としては彼女の話し方からして天海祐希を意識している。
 
あの顎を少し高めの位置で保ち、相手の一人称を「君」と発する。
どう考えてもめんどくさい人種なのである。

的確な指示に定評のある女 

現場となる新宿の無印について準備をする。
申込書とテーブルを出したり、
店員さんとの簡単な打ち合わせをして、現場で客の様子を見る。
すると例の彼女がまたしてもやさしく上から指示してくれる。
 
「私が男性のお客さん行くから。
君は、結構顔がシュッとしてるし、若い女性とか狙ってみたらいいかもよ」
 
シュッとしてるの意味が解らん。
何だよ「シュッ」って。
 
遠回しに褒められた可能性があるが、
それは仕事ができる女上司の上からの分析による
ご指導ご鞭撻だったかもしれない。
指示通りに女子大生風の女の子に声をかけたら瞬く間に契約が取れた。
さすが上司様である。
 
彼女のおかげで私はかなりの成果をこの一日で揚げることが出来て、
インセンティブをいただけることになった。

緊急ミーティング

店を出て本社に戻る前にミーティングをしようと言われて、
早く帰りたいと思いながらもどこでするのかと思ったら、
思いっきり道端の端っこのあたりでここでやると言いだしたので、
面食らいながらもアルタ近くの道端でめちゃくちゃ人がいるのに、
何か話し出した。
 
「君もさ、派遣なんかの仕事してても何にもないよ。
将来のこととか考えてるの?」
 
「若い人ってさ、危機感が無いのよ。
君はさ、今日はうまく行ったけどさ、
私のアドバイスが無かったらこうはなってないわよ
危機感が無いのよ」
 
なんだ、ものすごいダメだしされている。
 
「君は見た感じ若いけど24とか25とか?私と同じぐらいでしょ?」
 
言えない。35歳だとは言えない。
 
こちらが返答する前にドンドン話すので
質問に対して答えなくてもよかったのだが、
彼女はなぜ私の年齢をそんな感じだと思ったのかは謎だ。
 
「まぁ、君は将来性があると思うよ。男は30超えてからだから頑張って」
 
最後は激励していただいたのだが、
すでに30を超えている私は絶句し続けるだけだった。

自作の名刺 

そして、彼女曰くミーティングは終了したのだが、
最後に自分で作成したと思われる、
手書き風の名刺を貰った。
端っこにサンリオキャラを模した絵が描かれているが、
これを見てどの辺に危機感があるのかは謎である。
 
「なんかあったら電話してきな」
 
そう言って、ウインクをされた。
 
マジか!こんな人本当に存在するんだ。
 
ヤベェ、コントとかドラマとかでしか見たときないヤツ。 
 
その後、電車内でも説教は続いて
池袋の本社を出ても駅までついてきた。
駅までつく間におそらく「危機感」と言う言葉を5回以上は発していた。
 
幸い帰る方向が池袋から反対方向だったので、改札でお別れとなる。
別れ際まで上からすごい勢いで
「危機感持った方がイイよ!」
と言われ続けた。
 
その後、数日この人と仕事をしたが
私にとって「二人セゾン」はこの時のことだったのかと思う。
 
その後、あの彼女から電話がかかってきたことも、
こちらからかけることも無かったのだが、
あの人は少しはいい人生を送っているであろうか。
 
私はおかげさまでその後は危機感を持って生活することができた。
少なくともあの彼女よりは。