東京ハードボイルド

インターネットを使い始めてからもうすでに20年以上の月日がたっていると考えるとなんだかぞっとする。

3年前に台北に行ったときのこと 第四章 易占トリックアベニュー


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これは3年前に台湾へ行ったことを電子書籍化した文章を、ブログ用に追記、校正したものである。全部で十三章になっている。

前回までのあらすじ
40歳になる前に海外旅行へ行ったことないおっさんが、台湾へ一人で行こうとしてパスポートを取ったりする。航空チケットやホテルの予約などに奔走しようやく空へ飛び立つ。台湾に到着後ホテルへ向かい、すぐに観光に出かける。まずは行天宮に向かって人の多さに圧倒される。

 

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第四章 易占トリックアベニュー

占い横丁

行天宮を出てすぐのところで、ガイドブックを見ていると、すぐ近くに占い横丁と言うものがあると書いている。思い出横丁とかジャンジャン横丁とか横丁と言う言葉をよく聞くことがあるが、実際どういう意味なのかは知らない。横丁と言う響きは嫌いではない。ましてや占いに関しては過去にいろいろ体験し、占いを真剣に研究したことがある私は早速横丁へ向かった。

 行天宮の目の前に、地下道に続く階段があり、地下道にはさっきの線香売りの婆さんの仲間がいたが、思い切って階段を降りた。

線香婆を振り払いそのまますすむと10mほどで突き当り、左に曲がるとそこには無数の露店が並んでいた。
店先にはキョンシー映画に出てくるお札に書いてありそうな文字が躍る看板が並んでいたが、へんてこりんな漢字ばかりで全く読めない。なんともオリエンタルでノスタルジーな場所である。
さらに奥にすすむと日本語の看板が見えた。占いと書いてある。
 
「ウラナイアルヨ、アタルヨ」
 
と言った感じの日本語でおばさんが呼びかけてきた。
まるでアニメに出てくるスタンダードな中国人みたいな語り口で、アルヨ、アルヨと呼びかける。センジー北京か何かそこらへんのスネークショー的な奴を彷彿とさせる空間が催されているのだ。
私は秋葉原で絵画を売るために話かけてくる女性を振り払う時のように、そのアルヨ攻撃を切り抜けたのだが、行けども行けども別のおばさんが攻撃を仕掛けてくる。
そのうち何人目かのおばさんは一味違った。
 
「いいこと教えてあげる」
 
それにしても、どうしてこの人たちは見ただけで日本人とわかるのだろうか。そのおばさんはどうやら緩急をつける手法で日本人をキャッチするようだ。珍しくはっきりとした日本語で手招きされてホイホイついて行ってしまった。
そこには「老いぼれてハゲ散らかってしまった田原総一郎」に激似のおじいさんが座っていた。
おばさん曰く
 
「この先生は一番当たる」
 
らしい。
おばさんの顔は子どもが嘘つくときの顔だった。顎がクイっと上に上がっていた。
そんなことはお構いなしに占いの先生は、今にも勝間和代宮崎哲弥
 
「ちょっとだまって!今この人なんか言った!」
 
と言いそうな感じでやや前のめりである。
金額を聞いたら3000円ほどだったので占ってもらうことにした。
おばさんに根掘り葉掘り聞かれる。
  • 誕生日は?
  • 奥さんの誕生日は?
  • いつから来てる?
  • 仕事で来たのか?
そのほかいろんな質問に答えるとおばさんは田原総一郎激似に説明する。
田原総一郎激似は分厚い辞書のような汚い本を取り出して調べ始めた。
霊感とかそういう感じではなく、ものすごいスピードで本のページをめくり
 
――今、急いで調べる
 
のである。
その感じに思わず笑ってしまいそうになったが、調べた結果をおばさんに伝える田原激似。おばさんはそれを受け、ピンク色の紙に信じられないほどの汚い字で書きこむ。
  • 性格:正直で慎重と心がいいやさしい 聡明でかんがえすぎる動力力が強い
  • 夫婦運:奥様あげまんのいい女性 心がいいやさしい 口べた無口 相性はあいます。
台湾の当たる占いで「あげまん」と言われても伊丹十三のことばかりを考えてしまうではないか。
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 頭の中でマルサの女ミンボーの女スーパーの女がぐるぐる回っていた。一気にその安っぽさを露呈する占い師。

そのような感じでいろいろと書きなぐりがら物凄い勢いで説明された。
あまりの早い展開にあんぐりしていると
 
「子どもを占うことは500円」
 
と言われて瞬く間に勝手に料金を追加して
  • 子どもの誕生日は?
  • 子どもは男か女か?
などなどを聞かれてまたさっきと同じ展開で物凄い勢いで説明される。
説明が終わると田原総一郎激似もおばさんも満面の笑みである。
 
「写真撮りましょうか」
 
私はこの時点でまた金を取られるのではないかと戦々恐々としていたのだが、おばさんは当たり前のようにそう言って私にカメラを持っているかと聞いてきた。私がカメラを差し出すとおばさんはこれ持ってと言って、さっき占いに使ったピンク色の紙を赤い封筒に入れた。
 
自分の分と勝手に追加された子どもの分と二つの封筒を両手に持たされた。笑うしかないと言うレベルの表情を作りながら待っていると、操作の説明もしていないのにカメラを自在に操り、私となぜか親指をしきりに立てる田原総一郎激似の記念写真をあっという間に撮ったのである。

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結局、なんだかんだで五千円ぐらいを支払い、私は占い横丁を後にした。
 
金を払う時にふと思ったのだが、レートをいちいち日本円にしていくらとか考えることは、慣れないと咄嗟にできないため、金銭感覚が完全に麻痺してしまう。しかも現地の人はそれを知ってか知らずか円と元を微妙に言いかえたりして、500元だと思ったら500円だったりと、してやられることもある。
これは意外な落とし穴である。
 
当たっているかどうかは別として台湾の占いは意外と面白かった。女性に大人気であるが、おっさんも楽しめる率は高い。出生時間があると細かく占えるようなので、手元に母子手帳などがある人は確認して置いたほうが、より性格に占えるのかもしれない。
地下から出るとまだ霧のような雨は降っていたが、占いで今年はいい年になると言われていたので心は晴れていた。
 
夕方5時、一旦ホテルへ戻り晩飯を食べに行くためにガイドブックを開いた。
 
台湾と言えば夜市が有名だ。
夜市とは夜店みたいに屋台が並んでいて、毎日やっている縁日みたいなもののようだ。台湾は中華料理が美味いと言うことで有名だから、この機会に食べに行かないわけにはいかない。
このホテルから近いのは、士林夜市という夜市なのでそこへ向かって出掛けることにした。ホテルから一番近い駅へ向かい初めての外国の電車に乗る。
 
つづく